スライド資料に色を付ければよい、と思っていませんか?
- tsunemichiaoki
- 2024年10月13日
- 読了時間: 11分

本日もセミナービジネス研究所の記事をご覧いただきありがとうございます。あらゆる経営者の方が事業を発展させていく上で、セミナー展開の価値、メリットを感じていただくために、セミナー展開で御社の事業あるいは経営者であるあなた自身のアピールをしていただきたいと考えております。
そのために、セミナー展開をどのように行っていけばよいか、という基本をお伝えするため、そしてご参考になるのでは、という記事を書き連ねております。
前回まで、だいぶ経営者向けの経営計画や決算書の話が続きました。流石にもう、という感じかと思いますので、今回はガラッと内容は変わります。
セミナー実施時にほぼ間違いなくいつも使うスライド資料についてのお話です。
セミナーを開催する上で、今は投影するスライド資料はほぼ必須のものとなりました。
プレゼンテーション用のスライド資料といえば、マクロソフトのパワーポイント(以下、PPT)を使うことが必須という感じですが、最近はCANVAなどのソフトが出てきたことで、みなさんが色々なテンプレートを使いながらスライド資料を気軽にそして上手に作られるようになったと思います。
オンラインでのやり取りがコロナ禍以降一気に進んだことを、多くの方がプレゼンテーション資料の作成能力を上げることにつながったとも言えるでしょう。
それこそ昔(かなり昔かもしれません)であればパワーポイントを使いこななせれば一目置かれる時代がありましたし、セミナーの受講者側の方々もプレゼンテーション資料とソフトを使いこなしているだけで、立派な講師と感じてくれる古き良き時代もありました。
ですが、さすがにこれだけ多くの人が使うようになると、そのような温かな心をもったお客様は少数派で、スライド資料類を講師は使いこなして当たり前、という時代になってしまいました。
これから講師デビューされる方にとっては少々ハードルが上がってしまっていますが、それはもうやむなしと考えて乗り越えていくしかありません。
そのうえで、どのようなスライド資料、プレゼンテーション資料を作っていけばよいか、というヒントになるお話を今回はしたいと思います。
少々前置きが長くなってしまいました。それでは今回の本文をどうぞ。
第1章 セミナー開催時の主役は誰?
この章は、講師初心者の方向けに記します。
もしあなたがベテラン講師であれば、読み飛ばしていただいてかまいません。第2章からお読みいただければと思います。
さて、講師初心者の方、あるいは本当に初めて講師登壇に臨む方にとっては、何から何まで緊張のしっぱなし、ということにもなりかねないのですが、講師デビューにおいては避けて通れない道です。
その緊張を少しでも和らげるために、プレゼンテーション用スライド資料はたいへん心強い味方です。
極端なことを言えば、極度の緊張状態に陥ってしまっても、スライド資料に書かれていることをベースに話をしていけば、セミナーもなんとかなるものです(かなりざっくりとした言い方ですが)。
そのためでしょうか。スライドにびっしり文字、あるいは情報が埋め込まれてしまう資料に時々お目にかかります(最近はだいぶ減りましたが)。
その気持ち、とてもよくわかります。
しかし、さすがに受講者のレベルが上ってしまった昨今、そのような資料では残念ながら参加したお客様から満足した、という評価をいただくのは非常に難しくなってしまいました。
どうしてでしょうか。少し考えてみてください。
もちろん、わかりにくい、ということもあるのですが、それ以外にやはり理由があります。
そうなのです。
セミナーでは、スライド資料が主役ではないのです。
ところがスライド資料内に情報がびっしり盛り込まれて、講師がそれを読み上げるあるいは説明するだけであれば・・・・・。
何が起きるか、どのような反応が受講者に生まれるか。
説明せずともおわかりですね。
そのような資料であればわざわざセミナーに参加する必要はなく、資料だけもらって帰り、あとで読めばよいわけです。
そうなのです。
スライド資料はあくまで脇役で、主役は講師で有り続けなければならないのです。
それさえ踏み外さなければ、極論すれば、スライド資料はないよりはあったほうがよいですが、その程度のもの、ということなのです。
ないよりあったほうがよい。
そこを理解すると、スライド資料をどのように作ればよいか、ということへの悩みは軽くなりませんか。
あくまでスライド資料は、講師にとっての補助材料で、万が一、緊張等で話の展開が続かずにつまずいてしまうようなときに、スライドがあれば、あっそうだった、ここではこの話をしようと考えていたんだ、と事前の設定シナリオを簡単に思い出すことができます。
そのためにスライド資料はあると思ってください。
アドリブでやりすぎてしまうと、伝えるべき大事なキーワードを漏らしてしまうことも出てきます。
その回避のために、スライド資料にはそのキーワードをあらかじめ記しておき、確実にカバーしたセミナー運営を行う。そのために活用するものと捉えましょう。
第2章 きれいな色使いに工夫をこらすべき?
第1章ではスライドの役割をお伝えしました。そこさえ理解してしまえば、この章のタイトルの答えも明白と思います。
「スライド資料では、きれいな色使いに工夫をこらすべきか?」
はい、よろしいですね。
答えは「ノー」です。
もちろん色使いはきれいと思えるものを使うことは必要です。
ですが、黒一色のスライドがだめかと言えば、全く違います。
ただし、黒一色でインパクトのあるスライド資料を作ろうと思うと難易度が上がるだけです。
もし黒一色でレベルの高いスライド資料が作成できれば、素晴らしいプレゼンテーションにつながる可能性大と思います。
しかし、あえてそのようなリスクを取る必要はないのが一般のセミナーですから、適宜、色を入れて、視覚効果の高いプレゼンテーション資料を作ることは基本と思ってください。
ただし、2つの注意点があります。
① 色を使う量
この答えは、あなたが普段使う資料類、あるいは学生時代のノートや教科書を見ていただければ自ずと分かるかと思います。
多くの方が蛍光ペンを使われるのではないでしょうか。
ラインマーカーですね。
確かにマーカーで色をつけたところは目を引きます。
ですが、何度も確認するような資料、あるいは繰り返し勉強したようなところがマーカーだらけになって困ったという経験がありませんか。
そうなのです。
マーカーはごくたまに引かれている状態だとぱっと目に飛び込んでくるのです。あまりに多く線が引かれていれば、どれが重要かわからなくなり、かえってなにもない方が読みやすかった、ということにすらなりかねないのです。
スライド資料においても同じです。
黒字の中にたまに赤字があると目に飛び込んできてくれます。
これが強調、ということになるわけです。
背景色をつけるときも同じです。
赤や青や緑の背景色があちこちについていれば、まるで子どもの塗り絵をしているような状況になってしまい、コントラスト、対比というものが全く生まれなくなってしまいます。
もうおわかりかと思います。
文字の色遣いの基本は単一色です(基本は黒、場合によっては濃い灰色)。そこにたまにアクセントして赤や青が入ることによってインパクトが生まれます。
もし背景色を黒や濃紺にするのであれば、基本は白字。たまに黄色を使う、という程度で十分なのです。
第1章の繰り返しですが、あくまで主役はスライドではなく、講師なのですから。
② どの色がいいか?
前記で黒以外に、赤、青、黄色、というような色を出しました。
赤や青と言っても、専門家レベルの話をしていくと、いろいろな赤や青があります。濃い色や淡い色、また若干他の色を混ぜ合わせた色などです。
さあ、その中のどの色を使えばよいか。
迷い出すときりがありません。
マイクロソフトのパワーポイントで色の指定をする際には右図が出てきます。
それこそこの中でもどの赤を使おうか、どの青を使おうか、と迷い出すと本当にきりがありません。
さらに、この色だけでなく、もっと調整ができる右下の図まで行くと、様々色が設定できるため、ますます迷ってしまいます。
結論を申し上げます。
どの色を使っても大差ありません。
そこに迷うだけ、時間の無駄です。
本当に下手の考え休むに似たりです。
どうぞ、この色とパッと決めて、その色を使い続けるようにしてください。
スライド資料の作成時間が大幅に変わります。
大事なことはコントラスト、明暗差です。
違いがわかることが大事なのです。
そこさえ押さえておけば、あとは好みの問題です。
更に、微妙の色遣いを工夫して使いこなした資料を作ったとしても、ご自身のPCのモニターではきれいにその色の違いが出ているかも知れませんが、セミナー会場のプロジェクターがその色をきれいに出してくれる保証はありません。
オンラインセミナーであればお客さんの方のモニターがその色をどのように出してくれるかもわかりません。
芸術家の方々であればそこも考えなければならないでしょうが、通常のビジネスプレゼンテーションであれば、考えるだけ無駄ということなのです。
それよりも本質を究めることへの意識と時間を使うことを大事にしてください。
第3章 アニメーションはどのように使えばよいの?
マイクロソフトのパワーポイントを使うメリットの一番はこのアニメーションかも知れません。
アニメーションとは、クリックすることによって、次の段落が出てくる、あるいは何かを消せる、というよりスライドを効果的に行うためのツールです。
これが使いこなせるようになれば、資料作成者としても講師としても十分、ということになります。
しかし、第2章の色遣い同様、リスクもあります。
第2章と基本は同じですので簡単にここはご説明します。
アニメーションの機能は本当に多彩です。このソフトを作った人は凄いな、と思うのですが、一般のセミナーではそれらの機能は猫に小判です。
いえ、使いこなそうとしてはいけません。
色と同じで多用厳禁と覚えてください。
アニメーションばかりのスライドは、一見洗練されたように感じるかも知れません。ですが受講している側からすれば、そこにだけ目が言ってしまって、肝心の内容が頭に入ってこない、ということにもなりかねないのです。
たまにアニメーションがあると、集中力が高まって効果が出る、ということなのです。
どのスライド画面でもアニメーションがある。一つのスライド資料内にアニメーションがいくつも埋め込まれている。どちらもお勧めしません。
単調なくらいでよいと思ってください。
繰り返しますが、主役はスライドではないからです。
第4章 言葉でなくても語れるものがある
ここまで来ると、今回の記事でお伝えしたいことを十分にご理解いただいのではないかと思いますが、スライド資料は文章を記すもの、ということだけではないことを最後の章ではお伝えしたいと思います。
ただし、これは少々講師の技量を要するものですので、ある程度慣れて自信がついてきたら挑戦していただきたいことになります。何かといえば、
1枚の写真/イラスト
のみを画面に出す、というやり方です。
一切の言葉をそこには記さないのです。
受講者に伝わらない、というリスクもありますが、うまくいくと印象に残ります。
私の場合は、クイズのような形にして、キーワードを連想してもらう、というやり方をよく使います。
うまく行けば、記憶の定着面で単に文字を記して説明する場合よりも効果が期待できます。
そして、受講者の方々との双方向コミュニケーションがそこには生まれます。
この双方向、というのはセミナー展開上、非常に大事なことになります。
講師が一方的に話しをするのでは残念ながら、セミナーとは言えません。
双方向コミュニケーションができてこそようやくセミナーとして評価される入口に立ったと言えるのです。
それを1枚の写真/イラストで作り出せるとしたら、これは講師にとってはたいへん助かるツールです。
ただし前後の誘導及びまとめが少々高い難易度となるため、ある程度の経験を積んでから、としたわけです。
自分は行けそうだ、と思われた方はどんどん活用していただければと思います。
最後に
本日もお読みいただきありがとうございます。
ここまでで本日お伝えしたいことは終わりなのですが、最後に一言。
本論とは少々異なる部分ですが、色使いを考える際に、弱者のことをどうぞ考えていただきたい、というお願いです。
弱者と言ってもピンとこられない方が殆どと思いますが、世の中では残念ながら色の識別が苦手な方が一定数おられます。特に男性に多いと言われています。
いわゆる色覚異常と言われるものです。
緑と赤の区別や緑と茶の区別とか、健常者にとっては何でもない違いが分かりづらい、わからない、という方々がいらっしゃるのです。
お肉が焼けているのか生なのかわからない、というような日常生活での苦労も出てきます。
だからこそ、スライド資料を作る際には、シンプルイズベストなのです。
ご参考にしていただければ幸いです。
(了)
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