審査員視点から見たISOマニュアル ― 良いマニュアルと悪いマニュアル
- tsunemichiaoki
- 2 日前
- 読了時間: 3分

ISO9001の審査において、品質マニュアルは2015年改訂以降「必須」ではなくなりました。
それでも多くの組織がマニュアルを作成し、審査員に提示しています。
審査をする側も受ける側も、やはり品質マニュアルがあった方が都合がよい、ということでもあります。
では、審査員はそのマニュアルをどのように見ているのでしょうか。
審査員がマニュアルを手に取るときの視点
審査員は「規格の条文が書かれているか」をチェックするのではありません。むしろ次のような観点でマニュアルを読みます。
組織の仕組みが理解できるか
マニュアルを読んで、その組織が品質をどのように運営しているかが見えるか。
現場とのつながりがあるか
マニュアルに書かれている内容が、実際の業務や記録と整合しているか。
理念や方針が反映されているか
単なる規格のコピーではなく、組織の考え方や文化が表れているか。
審査員にとってマニュアルは「組織の窓口」のような存在です。そこから組織の品質活動の全体像を把握し、現場で確認すべきポイントのあたりをつけるためにマニュアルを活用(特に事前学習)するのです。
良いマニュアルの具体例
簡潔でわかりやすい
例:「当社では顧客満足度を四半期ごとにアンケートで測定し、改善会議で議題にする」
→ 規格の条文をそのまま書くのではなく、組織の言葉で説明されている。
現場で使える
例:業務手順やチェックリストとリンクしており、従業員が参照しやすい。
→ 「品質マニュアル=現場の道具」として機能している。
更新されている
最新の業務や改善活動が反映されている。改訂履歴が明確で、改善の痕跡が見える。
理念が息づいている
組織の方針や価値観が自然に織り込まれている。単なる手順書ではなく「組織文化」が垣間見れる。
悪いマニュアルの典型例
規格のコピー
ISO9001の条文をほぼそのまま並べただけで、組織の実態が見えない。
分厚くて読まれない
形式ばかりつまり、審査対応を重視し、現場では使われない。従業員から「読む気がしない」と敬遠される。
更新が止まっている
何年も経っているのに、内容が古いまま。現場の変化が反映されていない。
審査員向けの飾り
実際の業務と乖離し、審査のためだけに存在している。審査員からも「現場と違う」とすぐに見抜かれる。
審査員が本当に確認したいこと
審査員は「マニュアルがあるかどうか」ではなく、組織が品質マネジメントを実際に運営しているかどうかを確認します。
マニュアルに書かれていることが現場で実行されているか
従業員が品質方針を理解し、日常業務に活かしているか
改善の仕組みが動いているか
つまり、審査員にとってマニュアルは「現場を映す鏡」であり、現場をつなぐ入口なのです。現場業務との整合度が最も重要なのです。
審査員の心の声(イメージ)
審査員はマニュアルを読みながら、こんなことを考えています。
「このマニュアルは現場で本当に使われているのだろうか」
「従業員に聞いたとき、同じ言葉が返ってくるだろうか」
「改善の痕跡が見えるか。単なる形式ではないか」
つまり、審査員は「形(文言)」と「現場の実態」が一致しているかを常に見ています。
まとめ
審査員視点から見れば、品質マニュアルは「規格のコピー」では無意味と感じてしまいます。
あくまでマニュアルは「組織の仕組みを映す鏡」であるべきです。
良いマニュアルは現場で使われ、理念から方針そして目標を浸透させ、改善を促します。
悪いマニュアルは分厚いだけで、審査員にも現場にも役立ちません。
品質マニュアルの作成は必須ではなくなりました。しかし、もちろん作ってもよいのです。
そして、作るのであれば「審査員に見せるため」ではなく「現場で役立つため」に作ることが、組織にとって本当の価値につながります。


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