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文書を有効活用し続けるための組織的な仕組み― 「ISOマニュアル必須」という誤解を超えて、組織に合った仕組みを育てる

  • tsunemichiaoki
  • 2 日前
  • 読了時間: 5分
マニュアル

 

ISO9001の運用において、最も根強い誤解のひとつが「ISOマニュアルは必ず作らなければならない」というものです。


かつてのISO9001では、確かに品質マニュアルは要求事項として明記されていました。しかし2015年改訂で、この“必須”という縛りは完全に外れました。


つまり、ISOマニュアルは作っても作らなくてもよいというのが現在の規格の立場です。

しかしここで、もう一つの誤解が生まれます。


  • 「必須じゃないなら、もう不要だよね」

  • 「マニュアルなんて時代遅れ」


この“短絡的な不要論”もまた、大きな誤りです。



マニュアルは、組織が必要と判断するなら作ればよいし、作るなら“現場で使えるもの”にすべきというのが正しい理解です。


そして、マニュアルを含む文書体系は、組織の業務を支える基本的な枠組みとして、維持・更新され続ける必要があります。



今回のシリーズの最終回として今回は文書そして文書体系を“生きた仕組み”として維持するための組織的な仕組みを整理します。




 

1. 文書体系は「組織の仕組みを見える化したもの」


マニュアルを始めたとした各種の文書は、ISOのために作るものではありません。組織が日々の業務を安定して行うための “見取り図” です。


  • マニュアル(一次文書):全体像

  • 規程(二次文書):組織のルール

  • 手順書(三次文書):現場のやり方

  • 記録:実行の証拠


この構造が整っていることで、組織の仕組みが誰にでも理解できる形になります。



 

2. 文書体系を維持するには「責任の明確化」が不可欠


文書は、作った瞬間から古くなり始める可能性があります。維持するためには、次の仕組みが必要です。

 

✔ 文書ごとの主管部署・主管者を明記する

  • マニュアル:品質保証部門など

  • 規程:各プロセスの責任部署

  • 手順書:現場の担当部署

 

✔ 年1回のレビューをルール化する

  • 組織変更

  • 業務改善

  • 顧客要求の変化

  • リスクの変化

 

これらを反映するための定期見直しが必要です。

ただしここでいう見直しは、必ず改訂しなさい、というものではありません。改訂の要否確認をすることが見直しの大事な一歩です。



 

3. 文書体系は「現場の声」で育てる


文書は、現場の実態と乖離した瞬間に使われなくなります。だからこそ、改訂による最新化は常に行う必要があります。

そしてその際には、現場の声を必ず反映させる必要があります。

 

✔ 現場の声を反映する仕組み

  • 改訂の仕組みの明確化

  • 改善提案制度

  • 部署横断の文書レビュー会議

  • 内部監査でのフィードバック

 

文書そして文書体系は、現場の声を取り込みながら育てる“生き物”です。



 

4. 文書体系を“業務の基本”として教育する


文書は、教育の場で活用されることでより一層“組織の共通言語”になります。


✔ 教育で扱うポイント

  • マニュアルで全体像を理解する

  • 規程で組織のルールを理解する

  • 手順書で具体的な作業を理解する


文書類を渡しただけで、理解せよ、業務に活用せよ、ではさすがに

うまく回りません。乱暴ということです。


文書類(文書そのものと文章体系)を社内教育に組み込むことで

組織全体の理解度が揃い、業務の安定性が高まります。



 

5. 文書体系を維持するための「改善(PDCA)サイクル」を回す


文書体系は、PDCAを回すことで進化します。


✔ 改善サイクルの例

  1. 現場でもやもやすることが起きる

  2. 改善のきっかけと認識する

  3. 現場で改善が起きる

  4. 手順書に反映する

  5. 必要に応じて規程を見直す

  6. マニュアルの全体像に影響があれば更新する

  7. 内部監査で整合性を確認する


このサイクルが回ることで、文書体系は常に“現場と一致した状態”を保てます。



 

6. 「マニュアル必須論」と「マニュアル不要論」を超える


最後に、このシリーズの原点に立ち返ります。


✔ マニュアル必須論は誤解

  • 2015年改訂で要求事項から外れた

  • ISOは文書主義から脱却した

 

✔ マニュアル不要論も誤解

  • 組織の全体像を示す文書は依然として必要かつ有用

  • 文書体系の“核”として機能する

  • 教育・内部監査・改善の基盤になる

 


✔ 正しい理解


マニュアルは、組織が必要と判断するなら作ればよい。作るなら、現場で使えるものにする。


ISOは「文書を作るための仕組み」ではなく、“組織の仕組みを整え、維持し、改善するための枠組み” です。



 

 

まとめ:文書体系は“組織の基盤”として維持する

 

ここまで10回にわたりお付き合いいただきありがとうございました。


組織の方々と向き合う現場で、未だにISO品質マニュアルは必ず作らないといけないもの、と思っておられる方にあちこちで遭遇することから今回の記事をお届けするきっかけを得ることになりました。

ISOマニュアルが必須ではなくなった今、文書そして文書体系は「作るかどうか」ではなく、“どう維持し、どう活かすか” が問われています。


  • 文書体系は組織の見取り図

  • 責任者を明確にして維持する

  • 現場の声を吸い上げ育てる

  • 教育で活用する

  • PDCAサイクルを回しそして進化させる

  • マニュアル必須論・不要論を超える


文書そして文書体系は、組織の基本的枠組みを支える“基盤”です。


ISOは、その文書、文書体系をうまく構築、活用することで、組織運営の基盤を整え、維持し、そして組織が成長発展していくことを支える頼りになる経営管理のための仕組みなのです。


作成するマニュアルをはじめとした文書をどのように組織経営に活かしていくか。

正解はありません。

御社の独自のスタイルで全く構いません。

あくなき追求、追究をしていただきたいと思っております。

 


(了)






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