大人数研修の良し悪し(ISO研修講師日記Vol.15)
- tsunemichiaoki
- 11月1日
- 読了時間: 4分

受講者数が多かった今回の研修
今回は、いつものISO9001内部監査員養成研修のお話です。
ですが、少々いつもとは違うものでした。何が違うかと言うと、受講者の人数です。
今回も毎年のようにリピートしてくださる某大企業さんなのですが、ありがたいことに、いつもかなりの人数の参加者が集まってきてくださいます。
それだけ意欲のある方が多く、会社としても内部監査員の養成を精力的に行っていきたいという人材育成方針とのマッチング度合いが良いという証左なのですが、講師からすると少々苦労が伴います。
講義は問題なし、演習が課題
特に、現在関わっているコースの教材の場合、オンラインコースでは講師の采配次第でその様相が大きく変わります。
受講者数が多いとは言っても、標準最多人数より少々多い程度ですので、セミナー実施機関の立場からすれば「そのくらいは講師の力量で吸収してよ」ということになります。
講義部分であれば、オンラインであっても実は全く問題になりません。
さすがに標準受講人数の倍になってしまうとマイナス要因になりますが、4〜5人増えた程度であれば問題なく対応できます。
しかし、演習部分はそうはいきません。
一人ひとりに焦点を当てたいという思い
内部監査員養成研修では、内部監査技法を身につけることが目的です。
そのためには、ある程度一人ひとりが実体験を積んでいただきたい。
誰かが取り組んでいるのを見ている、聞いているだけでは、どうしても十分とは言えない可能性が高いのです。
私の場合は、演習時には一人ひとりに焦点をあてて、何も発言しないということがないように進めています。
そのため、時間はどんどん過ぎていきます。
模擬監査演習のコントロール失敗
そのリスクを理解していたつもりでしたが、今回の時間管理は合格点とは言えない状況に陥ってしまいました。
模擬監査の演習のコントロールの失敗です。
人数が多く、グループ数も多い。
いつものように一人ひとりに寄り添おうとすると、絶対的に時間不足になります。
事前にこれらのことはしっかり頭に入れていました。
ですが、いざ演習となると、受講者のレベルが想定より高く、センスのある方が多かった。
そこで油断しました。
丁寧な対応が裏目に出ることも
ついつい話したくなる、伝えたくなることが盛りだくさんで、導いたり、プラスアルファの解説をしたりしてしまうと、どんどん時間が過ぎていきます。
特に最初に取り組んだグループの方々が、いつもよりいい感じで進んでいたため、あっさり終わってしまうと物足りないかなと感じて、綿密な対応をしすぎました。
結果として、後半のグループで行き詰まる部分が出ると、そこは解説を含めて対応が必要になります。
その余裕、バッファがなくなってしまい、最後は押せ押せの状態で時間切れという状況になってしまいました。
サービス業としての難しさ
自分の中では良かれと思ってプラスアルファの対応をしたことで、結果として他の方には少々満足度の低いサービスしか提供できなかったという反省です。
何度似たことをしているか、というくらいにこの部分のコントロールの失敗をまた起こしてしまったとも言える状況です。
とはいえ、難しいのは、本当にそれが失敗かどうかが誰にもわからないかもしれないという点です。
ここがサービス業の難しいところです。
発注者との協働が質を高める
お客様の状態、状況は毎回違います。
同じやり方をすれば良いということは決してありません。
いかにその時のお客様の状況に合わせてコントロールして、満足していただくか。
何は絶対死守で、何は場合によっては割愛するか。
その線引きの甘さが私の場合の問題ということになります。
アンケートにご協力いただけたとしても、その部分に特化してお聞きしない限り、なかなか有効な指摘が得られるものでもありません。
少なくとも現状においては、その部分でのアンケート評価を受けることもないので、総論で言えば「十分満足している」という一般的なフィードバックしかセミナー会社側からも返ってきません。
結局は自分で考えて工夫し、また次のお客様と向き合うしかありません。
講師の限界と、発注者へのお願い
この問題意識を共有いただける事務局の方が出てこられたら本当に幸せです。
ですが、現状においてはそのような方との出会いはなかなかありません。
ここは講師だけの努力では実は限界があります。
発注者側の方の遠慮ない要求、コメントが本当に大事になってきます。
大人数の受講者になればなるほど、です。 お察しいただければ本当にありがたい限りです。
本日のひとこと
🎯無理と思える要求でも、質を高めるためには
セミナー会社&講師に投げかけよう!




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