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ISO運用の大誤解 ―品質マニュアル作成は必須ではない ―  誤解をほどき、柔軟な活用へ

  • tsunemichiaoki
  • 4 日前
  • 読了時間: 4分
マニュアル

ISO9001の2015年改訂は、多くの組織にとって大きな転換点でした。

その中でも特に象徴的だったのが


「品質マニュアル」


の扱いです。

旧版までは要求事項として明記され、審査員にとっても最重要文書とされてきました。しかし2015年改訂で、この「必須」という縛りは外されました。


つまり、品質マニュアルは「必ず作らなければならないもの」ではなくなったのです。


ところが現場を見渡すと、依然として

「マニュアルは必ず作らなければならない」

「要求事項の文言をそのまま書き込まなければならない」

と考えている組織が少なくありません。


その結果、分厚く、規格のコピーのようなマニュアルが量産され、現場ではほとんど使われないという状況が続いています。

これは非常にもったいないことです。



■なぜ必須ではなくなったのか


品質マニュアルが必須ではなくなった背景には、ISOの思想の変化があります。

昔のISO9001は「規格に沿った文書を整備すること」が意識されていました。

しかし、文書を整備すること自体が目的化し、現場で活用されない「形骸化したマニュアル」が増えてしまったのです。


そこで2015年改訂では、組織の実態に合わせた柔軟な運用、そして形骸化からの脱却を意識して「品質マニュアル必須」という縛りがなくなりました。

つまり、ISOは「文書を作ること」よりも「仕組みを運用すること」に重点を移したのです。

もちろんその背景には2012年に制定された共通テキスト文書(いわゆる附属書SL)の存在があるのですが、ここではその詳細は割愛します。



■現場に残る誤解


しかし、長年の慣習や審査対応から「品質マニュアルは必ず必要だ」と思い込んでいる組織は少なくありません。


さらに「要求事項の条文をそのまま書き込むことが正しい」と誤解し、規格のコピーのようなマニュアルを作ってしまうケースも多く見られます。


このようなマニュアルは、審査員に見せるための“飾り”にはなっても、現場で役立つことはほとんどないのが実態です。

むしろ、更新が滞り、従業員から「読む気がしない」と敬遠される存在になりがちです。



■本来の品質マニュアルの意義


品質マニュアルの本来の役割は、組織が品質をどのように運営しているかを「自分たちの言葉」で示すことです。

ISO規格のコピーではなく、組織の文化や業務の仕組みを翻訳したものこそが、意味のあるマニュアルです。


例えば、規格の「顧客満足の向上」という要求事項をそのまま書くのではなく、「当社では顧客アンケートを四半期ごとに実施し、改善会議で必ず議題にする」といった具体的な取り組みを記載する方が、はるかに現場に役立ちます。


品質マニュアルは審査員に見せるためのものではなく、従業員が品質活動を理解し、日常業務に活かすためのツールなのです。



■柔軟な活用のすすめ


品質マニュアルは必須ではありません。必要であれば作ればよいし、不要であれば他の仕組みで代替しても構いません。重要なのは「形式」ではなく「活用」です。


  • 教育資料として活用する

新入社員研修や品質教育の場で、組織の品質活動を理解するための教材として使う。

  • チェックリストや業務手順と連動させる

マニュアルを単独で存在させるのではなく、日常業務のチェックリストや手順書とリンクさせることで、実務に直結させる。

  • 理念浸透のツールにする

組織の理念や方針を「品質活動の言葉」に翻訳し、従業員が共感できる形で示す。


このように、品質マニュアルは「規格の写し」ではなく「組織文化を育てるツール」として柔軟に活用することができます。





■まとめ


品質マニュアルは、「必須」ではありません。


組織のフリーハンドが増した今こそ、柔軟に活用を考えるべきです。

ISO規格のコピーを作るのではなく、現場で役立ち、理念を浸透させるためのツールへと進化させることができます。


ISOは昔と違い「文書を作ること」ではなく「仕組みを運用すること」を重視しています。

だからこそ、品質マニュアルを「規格の写し」から「現場で役立つ文化のツール」へと変えていくことが、これからの組織に求められる姿勢なのです。






マニュアルに関してはもう少し深掘りしたいと思います。

続編はお待ちくださいね。

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