ハーモニー経営って何だろう?
- tsunemichiaoki
- 11月26日
- 読了時間: 5分
更新日:7 日前

第1話 ハーモニー経営とは何か?
—理念・仕組み・人材の調和を実現する方法—
企業経営の目的とは何か――利益の最大化と答える人もいれば、社会への貢献と答える人もいます。しかし、どちらの答えであっても共通して言えるのは、「人が力を発揮し、組織が調和して動いているときにこそ、企業は最も強くなる」ということです。
この「調和」こそが、ハーモニー経営の核にある考え方です。
ハーモニー経営とは何か
ハーモニー経営とは、経営者と社員、会社と顧客、会社と社会の三つの関係が調和してこそ、企業が持続的に成長できるという理念に基づく経営のあり方です。
つまり、組織の中だけで完結するのではなく、人と人、人と組織、組織と社会が響き合う状態を意図的に設計していく経営を意味します。
たとえば、経営者が理想を語っても、現場の社員がそれを自分ごととして感じていなければ、理念は形骸化します。また、顧客満足だけを追い求めて社員を犠牲にすれば、製品やサービスの質もやがて低下するでしょう。社会との関係を軽視すれば、信頼が損なわれ、いくら短期的な成果を上げても持続性は失われてしまいます。
ハーモニー経営は、こうした三つの関係をバランス良く整え、組織の奏でる“ハーモニー”を美しく保つための経営思想です。
ハーモニーが失われたとき、組織はどうなるか
ここ数年、日本を代表する大企業における問題が噴出して、報道されているケースにお目にかかります。これらの企業では明らかに社内外における「不協和音」を抱えている状況です。
経営層は「もっと挑戦を」「もっと変化を」と言うのに、現場は疲弊し、変化への抵抗が強まっているケースもあちこちで起きています。
顧客第一主義を掲げながら、内部では人材が消耗し、離職が止まらない。
このような状況では、社員は自社そして自分の仕事に誇りを持てなくなり、組織全体の活力が低下していくのは誰もがわかることではないでしょうか。
成果を上げようと努力し、奮闘する人ほど孤立し、協働よりも自己防衛が優先され、やがてイノベーションが止まる――。
ハーモニーを欠いた組織では、最終的に「声の大きい人だけが目立ち、静かに去っていく人が増える」という悪循環が起こる可能性がどんどん高まってしまいます。
経営者がその兆候を「現場の問題」と片付けると、さらに不協和音は増幅します。
ハーモニー経営の第一歩は、経営者自身が “社内で奏でられている音に耳を澄ませること” から始まるのです。
3つの関係の視点から考えるハーモニー経営
1. 経営と社員のハーモニー
経営理念・方針が現場に浸透していない企業では、社員が「なぜこの仕事をするのか」を見失いがちです。ハーモニー経営では、理念を単に掲げるのではなく、社員一人ひとりが、組織の理念を自分の行動に落とし込むことができる状態を目指します。
経営者は、まず自社の理念・方針をしっかりと再確認し、自らがどれだけ社内に向けてそれらについて語ってきた(情報発信してきたか)を振り返り、そのうえで、その発信内容がどれほど社内に伝わっていたか、ということに真摯に向き合う必要があります。
そのうえで、その向き合った結果から社員と対話や共有の機会をしっかり持つことを通して、理念を「現場の判断軸」に落とし込む支援を行います。
ハーモニー経営は、従業員満足(ES)を顧客満足(CS)の基盤と位置づけ、両者を同時に高める仕組みづくりを重視します。
2. 会社とお客様のハーモニー
顧客満足は企業存続の鍵ですが、社員が疲弊していては良い製品あるいはサービスは生まれません。
「従業員を大切にする会社は、結果として顧客からも選ばれる」――これは多くの実例が示す事実です。
ハーモニー経営は、第一の要素である、経営と社員のハーモニーに基づき自社、そして自社の持つ製品、サービスの価値に深く向き合うことを大事にします。
これまでの経営で、事業が継続できたということは、お客様から何かしらの支持をいただいたからです。
どうしてお客様は自社の製品、サービスを購入してくださったのか、そこがぼやけているとお客様とのハーモニーは生まれません。
自分たちの組織はお客様にどのような価値を提供できるのか
その深掘りと、そのことを理解したうえで自信をもって社員の方々がお客様に向き合うことをハーモニー経営では重視します。
3. 会社と社会のハーモニー
企業は社会の一部であり、地域や環境、次世代への責任を果たすことで長期的な信頼を得ます。ボランティアやCSR活動に限らず、本業を通じて社会価値を創出する姿勢こそが真の調和をもたらします。「儲かるからやる」のではなく、「社会に意味があるから続く」――この視点が経営の軸になります。
ハーモニー経営の3つ目の要素は、組織と社会との調和です。
今現在だけでなく、将来にわたってどのような価値提供を社会に対してし続けていくか。これこそ組織経営を考えるうえで最も大事な視点です。
前2者のハーモニーがあってこそ奏でることができるハーモニーです。
ハーモニー経営がもたらす変化
ハーモニー経営を実践する企業では、まず職場の空気が変わります。社員同士の会話が増え、上司と部下の関係にも変化が生まれ、結果として組織の風通し良くなる。
自分の仕事が顧客や社会とどうつながっているかを理解することで、仕事への誇りと喜びが生まれます。
この状態にまで組織が活性化してくると、改善活動や新しい提案が社員からどんどん湧き上がるようになります。
つまり、ハーモニー経営は“人の働く喜びを最大化する経営”であり、結果として生産性・創造性・持続性を高める経営なのです。
まとめ:経営者が向き合うべきは「音色とその響き」
ハーモニー経営の本質は、仕組みでも理論でもなく、経営者が人と真摯に向き合う姿勢です。数字の裏にある“声”を聴き、理念を日常の行動に変え、社員が誇りを持てる職場をつくる――。その積み重ねが、社員が育ち、顧客の信頼を生み、社会との絆を強め、最終的に企業の持続的発展につながるのです。
🎵 ハーモニー経営とは、「働く喜びが連鎖する組織」を育てる経営です。
企業と人と社会の未来を明るく照らす調和(ハーモニー)の力を生み出します。
(つづく)
第2話~第6話まで。
第2話 ハーモニー経営って何だろう(2)「響かせ合うこと」 はこちらから





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