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無事通過した不適合指摘初体験(ISO9001審査員日記Vol.4)

  • tsunemichiaoki
  • 4 日前
  • 読了時間: 6分
不適合指摘

大昔にこんな話を聞いたことがあります。


審査員としてデビューした人が、知人との飲み会のときに

「今回の審査では不適合指摘を●件してきたよ!」

まるでそれは誇らしげに自らの成果を誇るような口ぶりだった、

という話です。


どこまでが本当の話でどれほどの脚色がそこに入っているのか。

今となっては知る由もありません。




不適合指摘は自慢?


その昔は、ISO審査員の立場が強く、審査員は「先生」と持ち上げられ、場合によっては天狗になってしまった人もいた時代です。


組織がマネジメントシステムの運用をしていて、失敗してしまっている、なにか足りないところがある、それによって組織の成長発展の阻害要因になっている。


それを見つけて、直してもらって、本来あるべき成長路線にその企業に乗ってもらう。そのための一手段として審査があるわけで、不足しているところは指摘をして、組織に気づいてもらい、必要であれば根本原因から含めて対処してもらう、という当たり前のことをISOのマネジメントシステム規格ではうたい、そして組織に求めているわけです。


審査でそのような状況に遭遇し、指摘をすることは、審査員としての必要なことですし、お金をいただいてするべきことの一つというだけです。


その状態を見つけられずに見過ごしてしまったとすれば、それはプロとして失格と言っても良いことです。

ですが、指摘をしたからと言って自慢するようなことでは決してありません。


まるで、野球のピッチャーがストライクを投げたことで自慢しているような滑稽な状況なのです。

(三振を取ることができたのかホームランを打たれてしまったのかに関係なく)




アウトはアウトときちんと判定


決して自慢する話ではありません。

しかし、審査員として活動していくうえで、この経験を経ておかないと一人前になるうえではやはり大きな支障がるのが不適合指摘です。


したくてするものではありません。ですが避けて通るわけにも行きません。

基準に対して、出来ていない、逸脱している、となれば直してもらわなければなりません。

その手法が審査においては不適合指摘であり、指摘を受けた被審査組織からすれば、修正であり是正ということになります。


そして不適合指摘が会社にとって重大な問題が起きる前段階の小さな予兆、というレベルで収めることができれば、審査する側、される側双方にとって価値ある行為、ということになるはずです。


しかし現実は、なかなかそうはいかないのが現実。

指摘を受けるのを嫌がる組織も多いこともまた事実。

そうなると何のために審査を受けているのですか、と問いかけたくなるものですが、そうは言ってもお客様の考え方は千差万別。


今回の私の出した不適合指摘ではすんなり被監査側の方々に受け入れられ、無事審査終了となりましたが、この先どこかで受け入れてもらうのに一苦労、という不適合指摘経験をすることになるでしょう。


不適合指摘、という言葉の響きも良くないということもあります。

いずれにせよ、将来直面するであろう不適合指摘時の苦労話はいつかご紹介することになると思っています。



さて、話は戻して、審査員としての経験を積んでいく過程で、不適合指摘をしっかりする、という乗り越えるべき山があるわけですが、なぜそれが簡単なものとは言えないのか。



(特に不適合)指摘は成長発展の機会と、誰もが頭ではわかっていても、現実はそのようには動けない、というのがリアルな世界での話だからです。


審査員が不適合指摘をしようとすると、組織側が抵抗感を示す、というケースがよく起きます。

理由は様々です。

ここでその詳細を述べることは控えておきます。


そのような状況下にあるのが今のISO審査ですから、審査員にとって不適合指摘をするにも一苦労、というのが直面する大きな課題なのです。


下手をすると、不適合指摘を無事してきて自慢する、ということが今のほうが生まれてしまうかもしれない、とすら言えるわけです。


ですが改めて原点にかえって、不適合指摘はプロ審査員としては当然しなければならないこと。

そしてそれが組織の成長発展につながる指摘であれば、組織からは感謝されるはず。


そのような理想的な不適合指摘はそう簡単にできるものではありませんが、審査員は常にその理想を追い求めなければなりません。




不適合は存在しないにこしたことはない!


今回の審査で、私も初めて不適合指摘を出す、という経験をしました。

どうやら、私が所属した審査機関では、審査員補の立場で審査に参画して、不適合指摘を行うケースは稀なようです。

すべてをリーダー審査員の監督指導の元、動かなければならない審査員補ですので、リーダーによってその指導方針もいろいろでしょう。


今回の私の指導役のリーダー審査員の方はどんどんやっていいよ、というさすが超ベテラン審査員という懐の深さをお持ちの方でしたので、こちらも何ら気兼ねすることなく対応させていただくことが出来たことも、すんなりと不適合指摘をしてくるに至った要因です。


そういう意味では審査員補にとっては、組織との関係構築だけでなく、リーダーとの関係構築も審査経験を積んでいくうえで大事なことになります。


そして1度この指摘をする、という経験をしておくと、組織との距離感を掴む、あるいは考えるうえではとても貴重な知見を得ることが出来ます。


指摘をすれば良い、ではなく、指摘できる能力がきちんと備わっていることを自己確認する、という点で、審査の世界に入られた方はできるだけ早い段階でこの経験をしておいてほしい、と改めて思う背景にあります。


とはいえ、それはすなわち、認証を受けている組織のだめな状態を見出す、ということですから、あくまでないことが前提のはずです。審査に行く際に、だめな状態があることを願うようでは自己矛盾を起こしていることになります。


ですので、一度この経験をしておけば、不適合指摘をしなければならないような場面には遭遇しないでね、と願えるようになります。そして不適合指摘をせずに観察事項/改善提案にとどめて置けるか、ということを考える余裕も出てきます。


とは言え残念ながらだめな状態に万が一であってしまったら、それは指摘をせざるを得ません。



さあ、この先の審査では、不適合指摘をせざるをえない日にいつ遭遇するのでしょうか。





最後に『今回のひとこと』



📌審査員にとって不適合指摘は1度経験しておけば十分。

 遭遇しないことを願おう!

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