事前準備の大事さとYouTubeのありがたさ(ISO9001審査員日記 Vol.3)
- tsunemichiaoki
- 9月18日
- 読了時間: 4分

ISO審査員には、規格要求事項に関する専門性だけでなく、審査先組織に関する知見も求められます。
私自身は、学校卒業以来ずっとサービス業に従事してきたため、製造業や建設業の業務経験はゼロです。
通常であれば、審査対象はサービス業に限定されると思われがちですが、審査機関によってその考え方は異なります。
私が所属する審査機関は柔軟な対応をしており、現在は製造業を中心に審査の機会をいただいています。
審査チームとして業種分野の専門性が確保されていれば、審査は成立します。
私自身がその業界の専門性を持っていなくても、審査員補である限り、審査の成立には影響しません。
審査員補としての評価と準備
とはいえ、審査機会を得ることは重要ですが、相手企業の理解がなければ、まともな審査はできません。
審査員補とはいえ、プロ審査員の端くれ。リーダー審査員からは「この先、本当に審査員としてやっていけるか」という視点で評価されます。
一挙手一投足を細かく査定されるわけではありませんが、準備不足や動きの鈍さは当然評価に影響します。評価の目的は減点ではなく、事前準備の有無を確認し、そこから指導が始まるのです。
その一環として、審査対象業界に関するレポート作成が求められます。
すべての審査機関がこのような対応をしているわけではありませんが、私の場合は毎回、初めて訪れる業界ばかり。そのため、審査前のレポート作成は必須となっています。
未経験業界への挑戦とYouTubeの力
このレポート作成は、決して簡単ではありません。
業界経験ゼロの私にとっては、仕組みも言葉も分からず、マニュアルを読んでも理解できないことが多々あります。延べ時間にして丸2日かけても終わらないほどの作業量です。
そんな私にとって、心強い味方がYouTubeです。
毎回、本当に助けられています。
文字情報よりも何倍も、いや何百倍も理解が深まります。
業務の流れや専門用語の解説もあり、動画を繰り返し視聴することで知識の定着度が上がります。似たような動画を複数見ることで、共通の解説に出会い、理解がさらに深まることもあります。
今では、これらの動画がなければ審査準備は成り立たないと感じるほどです。動画を制作してくださっている方々には、心から感謝しています。
生成AIという新たな相棒
もう一つ、事前準備に欠かせない相棒がいます。
それが生成AIです。AIの登場によって、専門書を図書館で探す必要もなく、必要な情報を効率よく収集・整理できるようになりました。
もちろん、審査チェックリストの作成など、具体的な準備にはまだ力不足な面もあります。しかし、業界知識の収集や整理においては、ChatGPTなどの生成AIは非常に頼りになる存在です。
ネット検索の手間も大幅に削減でき、業界レポートの作成においても、情報の整理やわかりやすい記述の面で大きな力を発揮します。
数時間かかると思われた情報整理が、数秒で完了することもあります。
アウトプットの精度も高く、誤字脱字や論理の乱れもほとんどありません。
ただし、ISOの要求事項との関連付けについては、私自身の使いこなしがまだ不十分なため、やや粗さを感じる場面もあります。
それでも、「審査の視点をどう考えるべきか」と投げかければ、驚くほど的確な返答が返ってくることもあり、今後さらに使いこなせば、審査準備におけるAI活用の可能性は大きいと感じています。
苦労の先にある成長
こうして、毎回苦労しながら事前準備を進めることで、未経験業界での審査も何とか対応できている状況です。
とはいえ、審査先の現場に入ると、まだまだ「役に立つ審査員」とは言い難い自分がいることを痛感します。
仕事のポイントがどこにあるのか、パッと見て分かるレベルには程遠い。ここはもう、経験あるのみです。
現場審査の話は、また改めて綴ることになると思います。
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