リーダーからダメ出しもらいました(ISO9001審査員日記Vol.12)
- tsunemichiaoki
- 4 日前
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今までの審査ではリーダーの指導を多々受けては来ていますが、特段大きな問題にはぶつかることなくここまで来ました。
しかし今回は、ちょっといつものようにはいかず、リーダーから自分の判断を否認される初の経験をすることとなりました。
ああ・・失敗、失敗の巻、ということになります。
してしまった失敗
さて、具体的にその内容についてお伝えしましょう。
ある部門審査の中で、管理表の中に含まれていない機材の存在が明らかになりました。
その機材は確実なメンテナンスをすることが大前提。そこが審査のポイントになるので、その状況確認と、しっかり外部機関も活用してメンテナンスしている状況を確認することができていました。
よし、問題なしだな、と認識する状況です。
次の項目の審査への意識は行き始めますが、同社の内部規定上も、台帳登録をしなければならないし、マニュアルにも明快に台帳のことが記載されています。
では一応、台帳登録状況を確認させていただきましょうか、
という形で次の言葉を発したことが発端となりました。
提示された台帳を見ると、その機材が載っていないのです。
互いに顔を見合わせる状況。
さあ、お互いに弱った、という状況です。
不適合指摘をするかどうか
単なるケアレスミスであれば、目をつぶることは実際の審査上は起きることです。
しかしこれをケアレスミス、と言ってよいか。
被監査側もさすがにその抗弁は無理と察したのか、その後の言葉が出なくなります。
これを不適合、と宣言してしまうのは簡単です。
ですが、実際の審査ではそう簡単にことは運びません。
今回の相手先も、ISO認証に取り組んで、数年というようなレベルではなくISO規格の改訂を何回も経験してきているような極めて長い運用期間を誇る組織です。
少なくとも過去3年間の審査の中では不適合指摘を受けていません。
そして、台帳登録がされていないことで、実業務への問題、弊害は起きていません。
ただ単に内部管理のレベルが高くなかった、という状況です。
心情的にはこのレベルでは不適合指摘をしたくありませんし、相手もこちらがどのように判断するのかを固唾をのんで見守っている感じです。
何とか改善提案(観察事項)にとどめておきたい、という判断が私の頭の中を駆け巡ります。
とはいっても、もちろん、不適合指摘という判断の可能性はここでは示しておかなければなりません。
「単純に判断すれば不適合指摘になってしまいますが・・・」
時間を稼いで、さあどう判断するかの自問自答です。
この台帳に関しては、前日別の部署の審査で確認して管理されている状態でした。
ただしそちらでも気になることがあり、改善提案(観察事項)とするかどうかをやり取りを被監査側の担当者としていたため、様々な思いが頭の中を駆け巡ります。
結果として、そちらの部署で見送った改善提案(観察事項)を復活される形で、両方の部署での連係プレーを含めて、改善の余地がある、という整理を試みるようにします、と言ってその場を終えました。
リーダーとの対話
そして、昼休みの時間。
昼休みと言っても食事をさっと済ませた後は、当該検出事項をどのように文書に落とし込むかを考え、アウトプットしなければなりません。
早々にPCに向き合って打ち込みを始めます。
このように文書を作成するとまた口頭でやり取りしていた段階とは違う感覚も出てくるものです。
何とか文書にできるだろうと思って、審査の場面では改善提案(観察事項)の判断としましたが、文書にしてみるとどうにも苦しいのです。
どの要求事項とつなげるか、ということを実際の文書にする際には明確にする必要があることもあり、この要求事項とつなげる、というストーリーが必要です。
それがジャストフィットしないのです。
結局、2案(2つの要求事項の可能性)を考え、リーダーと意見交換をしようと判断しました。
そしてその案をリーダーに昼休み中に投げかけたわけです。
結果は・・・
見事に撃沈でした。
リーダーの判断と指示
リーダーの指示は、これは改善提案(観察事項)ではない。不適合指摘をしなければいけない事案、
というものでした。
やっぱりそうか、と思っても後の祭りです。
作り上げた資料も全部ご破算で作り直しです。
しかし、皮肉なもので、単純に考えれば不適合なものを、かなり無理をして改善提案(観察事項)にもっていっていたこともあり、不適合指摘にしたほうがすっと書面ができ上がるのでした。
審査チームとしてのその判断はその日の最後のまとめ会議の時間に伝えることになります。
被監査側も管理責任者が各部署の個別審査の時間にすべて同席して、その場面も認識してくださっていたこともあり、やはり不適合指摘ですか、という感じで、特段の議論、反論もなく受け入れてもらえることとなりました。
審査としてはここでひと段落です。
あとは最終会議も無事通過すればよいわけですが、今回もそこでも議論も何もなく、そのまま不適合指摘成立、ということで審査終了となりました。
さあ、ここで改めて考えたいことは、審査とは何か、ということです。
審査は適合、不適合を確実に判定して、審査結論を出すことです。
これが基本中の基本。
一方で、以前にこの日記に下記のように記しました。
「できることなら指摘する場面にこの先、遭遇しないことを期待する」と。
自分の中で無意識と言ってもよいかもしれませんが、不適合指摘をするのは忍びない、という思いが大きく芽を伸ばしていたように思います。
普段、内部監査員研修の講師を務める際には、スピード違反をしている車を見つけたお巡りさんはどのような行動をとりますか。晴天で回りに誰もいないゆえに事故の可能性はほとんどなし、と勝手に判断して、切符を切るのをやめることはありますか。ありませんよね。内部監査における不適合指摘もそれと同じです、と毎回のように言っているにもかかわらず、です。
ダメですね。言っていることとやっていることが典型的な不整合という事例です。
反面教師にしてください
言い訳でしかありませんが、この時はもう一つ、自分の中でダメ審査員になる要因がありました。
何かというと、この審査はサーベイランスではなく、更新審査でした。そしてある不可抗力の理由があって、審査日程が2か月ほどずれ込み、更新期限がギリギリという状況になっていたのです。
このような状況で不適合指摘をすると、是正対応に時間を要してしまうと、期限切れを起こしてしまう、というリスクが高まってくるのです。
現実のISO認証審査の現場では、審査機関側は、お客様は1社でも減らしたくありません。スムースに更新手続きを終えたいのです。つまり、そのような状況では不適合指摘はしないで済むならそのような審査で終えたい、という意識がどうしても審査員側に出てくるのです。これは審査機関によって温度差があるでしょう。私の経験上、そして感覚として、私の所属している機関は、ややこの思いが強いかな、と感じています。
まだまだリーダーを務められる経験と実績がない状態では、勝手な言動は控えておきたい、という思いも出ます。
その複合要因によって、今回の失敗をしでかすことになるわけです。
どうぞ審査、監査をされる方は今回の事例を反面教師としてください。
『今回のひとこと』



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