「トップインタビューで受ける圧力」(ISO9001審査員日記Vol.9)
- tsunemichiaoki
- 3月21日
- 読了時間: 5分

大きな声では言いにくいのですが、審査員教育の現場では、審査員が力量不足で、トップインタビューがうまく出来ない、パフォーマンスが悪い、という声がよく挙がります。
これは私達の業界にとって、永遠の課題と言ってもよいものでしょう。
トップインタビューとはどのような場か
基本トップインタビューはリーダー審査員(主任審査員)になる段階でなければ経験しない、とも言えるのですが、今回の私の立場は、メンバー審査員。更に私の資格はまだ主任審査員には遠い、審査員補から昇格したばかり。
ですが、そのようなことは関係なく、審査計画は決められるとともに、今回のお客様はホールディングカンパニーではないものの、各地の事業部が独立経営に近いような経営管理スタイルを取っているため、名目的なトップインタビューとは違うものの、初日のスタートは実質的トップインタビューとも言える内容の審査からのスタートとなりました。
初回会議で通常はリーダーが説明する内容を私の方で伝達するなど、なすべきことを明確化した会議を取り仕切り、それが終わるとすぐさま、その事業部のトップインタビュー開始という流れでした。
相手は常務取締役の方。
組織上は専務、社長とその方より上位者はおられるものの、部長兼務で実務にも携わる一方で、常務の立場としてその事業所の経営管理全般を見ておられる方です。
こちらも、社長と面しているつもりでインタビューを行いました。
どの審査機関も同じと思いますが、審査員は略歴を作成し、その情報が事前に組織に伝わり、今回の審査ではこの審査員が担当します、というやり取りが行われます。場合によっては利害抵触等の関係で、その審査員の配置を拒否する権利が組織側にはある点は、理解しておいてください。
略歴がわかる、イコール、審査員歴もわかりますし、年齢もわかります。
あえて極端に言えば、今回の常務の側から見れば、審査員になりたてのひよっこ、若造が今回の審査で俺の前に来たな、という思いがあってもおかしくはありません。
外見的にはその常務は70歳くらい。
そしてその組織はなんと20年以上認証を継続維持してくださっている企業。
想像の域は出ませんが、その常務は、立場は色々変わってきているでしょうが、20回以上の審査受審経験がある、ということです。それだけ多くの審査員とも接してきている、ということです。
いろいろな審査員、そして審査現場を見てきているわけですから、時々あるような、審査員を前にするとドキドキしてしまう、という感じはまったくありません。
はっきり言えば、
こちらのお手並み拝見、ということです。
審査員と受審組織で飛び交う火花?
ゆえに、審査員になりたての方にとっては、やはりトップインタビューは大変、ということになるわけです。
私の場合は、直接のISO審査とは異なりますが、同等の審査を受ける回数は20回を超えています。そして経営者として10年務めていますので、トップインタビューも10回受けたことになります。
正直に申し上げますが、審査員の方々のほうがいつも年上という状況でしたが、今回の審査員はどこまでこちらのことを理解してくれるかな、というお手並み拝見、という思いを持って審査を受けておりましたので、今回の常務の応対状況は色々想像ができます。
勝手に推測をするのも失礼な話ですので、そこは予断を持たずに審査を進めなければなりませんが、結果として、表情を見ている限り、満足させられた、というところには行き着きませんでした。
適合性審査、というのがISO審査の基本ですから、どうしてもそこには限界があります。
時間の多くは、確実に基準に則って業務遂行されていることの確認に使う必要があります。
ですが、組織の側からすれば、その上で、お金を払っているわけだから、なにか事業推進にプラスになるものを残して欲しい、見出して欲しい、教えて欲しい、ということになります。
限られたトップインタビューの時間の中で、いかにその方との信頼関係を築き、そしてその先の有効な審査を進めていく土台を作り上げていくか。
せっかくあったトップインタビューの時間でしたが、十分にそれを活かしきれたとは言えない時間であったというのが事後の振り返りとなってしまいました。
もっともっと、経営管理上の苦労話を聞き出す。
どのような経営をしたいと考えているかも聞き出す。
一見審査とは異なるテーマのように感じるかもしれませんが、これらの基礎情報を得た上で、それに続く部門審査をしていたら、どうであったろう、と思うと、未熟な審査をやらかしてしまったなあ、という思いが強く出てくることとなりました。
トップインタビュー。
無難に済ませようと思えば、30~40分の時間ですから、あっという間にこの時間は過ぎ去ります。
ですが、その短時間の中で、どこまでその後の審査を進めやすくするベースを作るか。
今日の内容でも多少は参考としていただける部分があるのではないかと思います。
その上で、その人なりの引き出しをいくつも持つことが大事になってきます。
ここまで記してきて思いました。
どこまでいっても審査員が経営者より上位者の立場になることはありません。
率直、素直に、経営にどのように向き合っておられるかをお聞きする。
トップインタビューではそのスタンスが当たり前のことですが、大前提。
その上で、聞くべきことは遠慮なくお聞きする。
何回もチャレンジして、あなたなりのトップインタビューのやり方を見つけていってください。
私もまだまだその道を探し続けます。
最後に『今回のひとこと』