「革新は不要??」(ISO9001審査員日記Vol.8)
- tsunemichiaoki
- 4 時間前
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ISO9001では継続的改善というテーマがとても重要視されています。
一方、ISO9001のレベルよりもう一段、上のレベルを目指すための規格であるISO9004では「革新」という言葉が出てきます。
改善を繰り返していても、パラダイムシフトとも言える革新には繋がらない可能性が大、であることを踏まえて、より難しい革新(イノベーション)へのチャレンジまで視野に置きましょう、と言うのが、ISO9004が打ち出している一つのテーマです。
これまでの審査経験の中では、認証取得からかなりの年数が経っている組織に伺うことが何度もあったため、継続的改善の度合いは常に気にしているのですが、今回伺った組織では、他社に比べても格段に確実な運営管理がされている状況を目の当たりにすることになりました。
そうすると、そこに安住してほしくない、という思いがもたげてきます。
QMSの運用に革新は必要か?
あくまでISO9001の審査ですから、革新の度合いを審査、評価することを求めるわけではありませんが、9001の要求事項のレベルに留まっていれば、その組織の成長発展があまり期待できないという思いはあくまで個人の考えですが強く持っています。
期待することは、ISO9001のレベルに留まらず、組織独自の基準、要求事項をマニュアルの中に入れ込んで、高いレベルのマネジメントシステム運用へのチャレンジをしていって欲しいわけです。Beyond the ISO9001ということです。
そのあたりをトップインタビューの場面で投げかけるチャンスが有りました。その前にも社長と立ち話をする機会もありましたので、投げかけていたこともあったからです。
結果として、見事に否定するコメントが返ってきました。
これをどう受け止めるか。
社長に向上心がなくだめだ、等と言いたいわけではまったくありません。
研究開発は不要??
その場で社長からは業界に関する説明が行われました。
ずっと以前から、製品に関する技術革新はなく、研究開発は我が業界には必要ない。国内市場も伸びが期待されるわけではなく、供給能力も業界全体で余剰がある。
そうなると、戦略としてはいかにシェア拡大を図るかであり、だからこそ営業への注力が大事になってくる、という趣旨の説明でした。
それを聞いて、考えさせられました。
研究開発、技術革新が大事と言えない業界が本当にあるのか。
直感的には、社長の説明は理路整然、さすが経営者、というものでした。
納得性十分ということです。
もしそれを全面的に肯定するとなると、審査のアプローチも当然変わってきます。
成長拡大を目指して取り組むQMSと基盤維持そしてシェア拡大に注力するために取り組むQMSでは方向性が全然違います。
正直考えさせられました。
目を見開かせられた、と言ってもよいでしょう。
はっきり言えることは、すべての会社の経営課題が、進化、革新ではない。
ということです。
この会社ももちろん数字上の成長拡大は志向されています。
とはいえ、M&Aの安易な手法についてはネガティブな考えでした。
数字合わせの拡大を図っても、質の低い会社を入れてもまったくためにならない、というスタンスを持っていたからです。
そうなると、過当競争とも言える状況であっても、先端設備等の導入により、質の低い同業他社を淘汰していく、という戦略が成り立ちます。
審査先企業の経営戦略の理解
ISOの審査がこのような観点にまで及ぶということを言いたいわけではありません。
しかし、その会社の経営戦略の理解が浅いと、どこでより深く突っ込んでいけばよいか、というところの選択を誤ることになります。そこは前号、「昨日の審査は楽でしたね」(ISO9001審査員日記Vol.6)で記したことにつながっていきます。
相手先組織の経営戦略の把握。
簡単そうでなかなか簡単には掴めません。
ですが、あらゆる機会を通じて、その理解を深めることも、審査の質を高めるうえでの必要不可欠なアクションです。
改めて、企業の経営戦略の奥深さを感じさせられた審査となりました。
最後に『今回のひとこと』



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